HICAREでは,世界各地で放射線被曝者の治療等に当たっている医療従事者に対して技術指導及び医療情報の提供等を行うため,海外から医師等の受入研修を行っています。
これまでに約360人を受け入れ,さらに国際協力機構(JICA)など,他の機関からの依頼により研修の一部を実施したものを含めると,約1,300人を受け入れています。
■要件
a.原則,国際機関,外国政府,外国の地方政府または医師会等,これらに準ずる公的機関から,日本国内の公的機関を経由して申し込まれたものであること。
b.研修を受ける者が,放射線被曝者の医療・健康管理等に従事する医師等であること。
c.長期研修(2週間以上)を希望する医師等にあっては,研修を効果的,かつ,円滑に受けられる相当程度の英語能力を有する者であること。
d.研修の目的が,放射線被曝者の医療・健康管理等に関する知識・技術の修得を主とするものであること。
■受入研修機関
広島大学医学部
広島大学病院
広島大学原爆放射線医科学研究所
放射線影響研究所
広島原爆障害対策協議会
広島赤十字・原爆病院
広島原爆被爆者援護事業団,など
HICAREでは,世界各地で放射線被ばく者の治療等に当たっている医療従事者に対して技術指導,医療情報の提供等や,関係国際会議において報告を行うため,医師等専門家を派遣しています。
■派遣人数
これまでに,アジア,北米・中南米,ヨーロッパの16カ国に,約200人を派遣しています。
国内においても,1999年に茨城県東海村で発生した臨界事故に際して,茨城県からの要請により,住民の被曝線量の測定,健康診断及び土壌の放射能測定を行うため,医師,看護師,技師等9名の専門家を派遣しました。
また,2011年に東日本大震災に伴って発生した福島第一原子力発電所の事故に対しては,福島県の要請により,避難した住民の被曝線量の測定を行うため,技師,看護師等6名を派遣しました。
■主な事例
●被爆者医療に関する研修会の開催
2007年 ブラジル
2009年 アメリカ合衆国(カリフォルニア州・ワシントン州)
2012年 アメリカ合衆国(ハワイ州)
●技術指導
カザフスタン
ベラルーシ
●国際会議等への出席
緊急被曝医療準備ネットワーク(REMPAN)会議
チェルノブイリ原発事故関連会議
IAEA国際会議等
●世界保健機関(WHO)訪問
福島第一原子力発電所事故を含めた放射線被曝者医療に関する意見交換
HICAREでは,放射線被ばく者医療に関する国際協力推進の意義と必要性を啓発するため,講演会の開催や各種普及活動を行っています。
■講演会等
2011年11月23日・24日
2011 HICARE国際シンポジウム「放射線の人体影響」
20年間にわたるHICAREの国際協力の成果を発信するとともに,国際原子力機関(IAEA)と取り交わした「放射線被ばく者医療分野の協働に関する覚書」による最初の取組として,国際シンポジウムを開催しました。
■出版事業
1992年に,医療従事者向けの被爆者医療の解説書として,「原爆放射線の人体影響1992」を出版し,原爆被爆後,46年間の研究の成果を集大成したものとして高い評価を受けました。
2012年には,HICARE設立20周年記念事業として,広島と長崎の最新の研究成果を知見を盛り込んで全面改訂し,「原爆放射線の人体影響 改訂第2版」として出版しました。