広島の原爆被爆者に起こった色々な疾病の診断と治療法は,その治療に携わってきた医師によって色々な医学学術雑誌に報告されてきました。毎年刊行される原子爆弾後障害研究会講演集(広島医学)はその代表的なものです。またそのような治療経験とともに,被爆線量の評価や病理等の基礎医学の分野も含めた情報の蓄積が一冊の本にまとめられたものもあります。代表的なものを2つだけ挙げておきます。
(1)「広島・長崎の原爆災害」(広島市・長崎市原爆災害誌編集委員会編,岩波書店,昭和54(1979)年7月,第1刷発行)(英語版あり)
(2)「原爆放射線の人体影響 改訂第2版」(放射線被曝者医療国際協力推進協議会編,文光堂,平成24(2012)年3月発行)
2010(平成22)年8月6日,HICAREは,国際原子力機関(IAEA)と放射線被ばく者医療の分野で協力していくことで同意し,「医療的分野の協働に関する覚書」を取り交わしました。
この覚書は,放射線被ばく者医療の治療及び研究に関し,人材育成や共同研究などの分野で協働事業の実施に努め,国際平和と安定に貢献することを目的としています。
IAEAという世界150か国が加盟する国際機関との協働事業を通じて,HICAREの取組みを広くPRし,放射線被ばく医療分野での世界の中での役割を高め,HICAREの目的である,世界への貢献と国際協力をより一層推進する契機となることを期待しています。
2011(平成23)年3月15日,福島県知事(災害対策本部)から広島県知事に対し,同月11日に発生した東日本大震災で被災した福島第一原子力発電所の事故に対処するため,放射線技師及び看護師等を派遣するよう緊急要請がありました。
これを受け,広島県からHICAREに対し,放射線量測定チームの編成・派遣の要請があり,直ちに放射線技師及び看護師等の6人のチームを編成し,現地に派遣しました。
派遣チームは3月16日から22日まで滞在し,福島県県中(けんちゅう)保健所と合同で,同保健所管内の避難所等を巡回し,「スクリーニング(検査)」等を実施しました。
(5市町村12箇所,1,447人)
そのほか,HICARE構成機関は,それぞれ,救急医療,健診,住民への啓発などの活動やこれらの事業に対する助言等の活発な支援活動を実施しています。