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チェルノブイリ20年国際会議に幹事等を派遣

ベラルーシ共和国で開催された国際会議に幹事等を派遣しました。

会 期:

平成18(2006)年4月19日~21日

派遣者:

星  正治  HICARE幹事,広島大学原爆放射線医科学研究所教授
武市 宣雄  武市クリニック院長

開催地:

ベラルーシ共和国 ミンスク,ゴメリ

会議会場で(右が武市氏,左が星HICARE幹事)

武市氏の所感:

 この4月19日-21日の3日間,「チェルノブイリ20周年。被災地の回復と持続的進展の為の戦略」と題する国際会議が,ベラルーシ共和国・大臣評議会の主催で開かれました。
 
 私はNGOのジュノーの会,旧ソ連の医師免状を持つ医療通訳の山田英雄氏と共に1991年から,ウクライナでの甲状腺検診を被爆地広島からの人道的援助として行ってきました。特に1997年からはNGOのチェルノブイリ支援運動・九州(矢野宏和代表,福岡県)と共に,日本の甲状腺医師仲間との協同戦略で,検診車を購入しての甲状腺検診をベラルーシのブレスト州で開始しました。単に甲状腺癌患者をみつけるだけではなく,放射線汚染地域の医師に,広島と同様の甲状腺のエコー,穿刺吸引,細胞診断をして頂くよう,その道のスペシャリストの医療技術向上に務めました。年に一度は首都ミンスクの医療再教育センターに全国の医師(毎年約100-150人)に集まって頂いて講演会を開き,このような技術を全国に広げると同時に,放射線の基礎知識を広島大学の星 正治教授に講演して頂いて,全国の医師に知って頂くような努力もしてきました。
 
 今回の国際会議では,支援運動九州から寺嶋 悠さんが,NGO部会の“NGOとのラウンド・テーブル”で,医療専門家派遣,医療機器(高額なエコー診断装置の購入はカタログ・ハウスの援助)・医薬品の援助等を含めて上記の取り組み方を報告されました。星 正治先生(写真1の左)は科学部会の“線量測定”で,ブレスト州住民の甲状腺被曝推定線量の報告をされ,私は科学部会の“医学的,社会的,心理的な影響”で,この10年間に得た新たな知見を加えてのチェルノブイリでの甲状腺癌発生,を報告しました。
 
 広島の放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE)はこれ迄,ベラルーシ等の被曝地の医師の研修受け入れをしてこられ,その協力も得てきましたが,今回は私を国際会議へ派遣して頂きました。心から感謝致しております。お蔭様でミンスクで小池孝行在ベラルーシ国連大使と会談させて頂き,支援運動・九州の今後の現地活動へのご協力も得られそうです。
 
 最後に,我々の甲状腺検診は当初からベラルーシ赤十字と協力して行っており,今回の国際会議の冒頭で国際赤十字の代表者が,「1000人の患者を検診して,50人の甲状腺がん患者を見つけその命を救った。」と彼らの仕事として紹介し,これまでの私たちの活動を賞賛されたことを付け加えておきます。

(武市クリニック院長 武市 宣雄)

中央が小池大使,右端から山田英雄氏,寺嶋 悠氏,左端は支援運動の山口英文氏