ビチェフスク市 ビチェフスク州立内分泌病院における検診~非汚染地域の抱える現状~
ビチェフスク市は,首都ミンスク市より北東350kmロシアに隣接する,マルク・シャガールの生誕地として有名な町である。今回の検診団派遣は,コントロール調査と非汚染地域における甲状腺癌の調査が主たる目的であった。
州立内分泌病院において,2日間で59名の甲状腺癌検診を,武市宣雄院長を中心に過去7年間,現地および日本での研修により吸引穿刺・染色等の医療技術をマスターしたブレスト州立悪性腫瘍病院・内分泌診療所 国際赤十字連盟移動検診チームの医師達も検診に参加した。吸引穿刺後の標本は,ブレスト州立病院 内分泌診療所において染色され保管されている。目標として,検診団滞在中に,標本を染色し診断結果を知らせるよう努めている。
ビチェフスク州立内分泌病院 ガリーナ院長は,「私たちは,ブレスト州立病院における国際赤十字連盟移動検診チームと日本の医師達の検診活動に大変,刺激を受けまた,興味を持っている。非汚染地域の指定を受けている当地においては,ブレスト市のようにNGO,国際赤十字,共和国政府などによる移動検診チームは組織されていません。しかし,ビチェフスク州には現在22000人の汚染地域からの移住者が住んでおり,甲状腺疾患,糖尿病等の内分泌系の疾患が心配されています。移住者が多く住んでいる農村部の医療施設では充分に対応できていません。非汚染地域なので医療面でのケアーが遅れがちです。そうした意味で,日本の専門家による検診に深く感謝します。ブレスト市の移動検診チームの取り組みが日本の専門家との協同で活躍している事を知り,保健局とも話し合い,できれば今後当地においてもブレストのような移動検診チームを作りたいと考えています。医療技術や医療設備の面では彼らのような質の高さには及ばないかも知れませんが,その効率的なシステムをビチェフスクでも確立できるよう進めてゆきたいと考えています。
支援運動・九州の皆さん,日本の専門家の皆さんとは,これからも末永い関係を続けて行けたらと思います」と語った。