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韓国にHICARE幹事等を派遣

韓国の被爆者関係医療機関・研究機関とHICAREの研修受入機関とのネットワークを構築することを目的として,幹事等を韓国に派遣しました。

期間:

平成18(2006)年1月23日~27日

構成員:

団長柳田 実郎HICARE代表幹事,(社)広島県医師会常任理事
団員妹尾 紀具(社)広島市医師会
 谷川 攻一HICARE幹事,広島大学大学院教授
 稗田 雅司広島大学病院緊急被ばく医療推進センター医師
 星 正治HICARE幹事,広島大学原爆放射線医科学研究所教授
 佐々木英夫HICARE幹事,(財)広島原爆障害対策協議会健康管理・増進センター所長
 黒瀬 真理子広島赤十字・原爆病院看護部看護係長
   事務局2名

大韓赤十字社職員と派遣団

訪問先(訪問日程順):

原子力医学院(KIRAMS)緊急被曝者医療センター
放射線保健研究院
大韓赤十字社
嶺南大学校医療院
大邱赤十字病院
釜山報勲病院

柳田団長の所感:

 在外被爆者の診療に携わっている現地の医師や看護師を広島に招いて,被爆医療について研修していただくことは,HICAREの事業の中でも大きな柱の1つである。HICARE創設時の1991年から,北南米の3カ国から研修生の受け入れを行ってきたが,1999年からは,韓国からも毎年受け入れを行っている。
 
 しかしながら,これまでの受け入れ研修の期間は1~3か月と長いため,多忙な医療従事者にとっては,「参加したくても休みが取れない」という実情があった。このため,短期の研修についての要望が,韓国から寄せられていた。
 これに答える形で,出発から帰国まで1週間,実質研修期間5日間の研修に,6人程度の医師ならびに看護師に参加していただく,短期研修プログラムが幹事会で提案された。すなわち,「被爆の後障害などの疫学をはじめ,被爆医療の全体像や事務手続的な内容について,HICAREの支援施設の数か所で研修していただく」というものである。これには,「在外被爆者の健康管理手当の申請に関わる診断書を,現地の医師が記載できる」という制度が,昨年10月から始まり,「その適応疾患や記載方法についても,現地の医師に周知できれば」という目論見もあった。
 
 また,原発事故等に対応するために,我が国には既に「緊急被爆医療ネットワーク」が整備されており,広島大学が西日本の統括施設となっている。韓国でも昨今同様のネットワークが立ち上がり,昨年も同ネットワークの使節団が広島を訪問し,HICARE研修を受けてもらっている。
 
 このような状況の中,HICAREとして韓国の被爆者医療をどのように支援していけるかを調査し,合わせて短期研修についての具体的な要望を聴取するため,医師6名,看護師1名,事務局2名からなる韓国訪問団が,5日間,被爆者医療を行っている4病院と緊急被爆医療をリードしている2施設に派遣され,代表幹事という役目柄,団長を拝命した。
 
 まず,緊急被爆医療の中心的な施設として,ソウルの原子力医学院緊急被爆者医療センターと放射線保健研究院を訪問した。最初に,各施設の幹部職員から,韓国の緊急被爆医療ネットワークの概要と各施設の役割についての説明があり,続いて,団長として,HICAREの概況と短期研修受け入れについて説明した。研修生からHICARE研修野感想を聞いた後,広島の緊急被爆医療のリーダー的存在である谷川幹事(広島大学大学院救急医学教授)を中心に,追加の説明や質問がなされ,熱心な意見交換がおこなわれた。最後に,各施設の見学を行った。
 
 多くの被爆者が受診している病院としては,ソウルの大韓赤十字社,テグの嶺南大学医療院と大邱赤十字病院,プサンの釜山報勲病院を訪問し,各病院の院長をはじめとする幹部職員と懇談を持った。
 各々の病院では,最初に,その病院の概況や被爆者医療に対する取り組みについて説明を受けた。次に,団長として,HICAREの歴史と事業について概説し,短期研修の概要を述べ,その人選等の窓口を大韓赤十字社にお願いする旨などを説明した。また,研修経験医師から,研修に対する感想と要望を聴き,研修が帰国後役立っている旨,具体的な説明を受けた。
続いて,佐々木幹事(原対協所長)から,韓国医師による健康管理手当診断書の記載についての注意点などを含む,被爆者医療全般について説明があり,双方から意見や要望が出され,説明がなされた。短期研修に関する提案は,各病院から期待以上の賛同を持って迎えられ,各病院とも年2~3人は派遣したい旨の意思表示があった。
最後に,各病院内を見学し,大邱赤十字病院と釜山報勲病院では,入院中の被爆者との面会が実現した。
 
 各施設・病院ともに,被爆者医療ならびに緊急被爆医療に情熱を注いでおり,HICAREへの研修生派遣の要望も強く,期待をはるかに上回る収穫が得られた韓国訪問であった。

所感:

釜山報勲病院職員と(右から4人目が筆者)

(社)広島市医師会(呼吸器外科) 妹尾 紀具
HICAREの韓国派遣事業に参加して
 父が爆心地で被爆したことや,昭和56(1981)年度に始まった厚生省の原爆に関する調査研究班(重松班)に参加し,原爆被爆者肺癌の臨床的研究を12年間行った経験や,健康管理・増進センターで被爆者肺癌の検診を現在まで行っていることなどから,HICAREの派遣事業に参加することになりました。

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原子力医学院職員と(前列右から3人目が筆者)

HICARE幹事,広島大学大学院教授(救急医学) 谷川 攻一
 HICARE訪問事業の一環として韓国における中核的放射線医療施設であるNational Radiation Emergency Medical Center (原子力医学院国家放射線非常診療センター,以下NREMC)及びRadiation Health Research Institute(放射線保健研究院,以下RHRI)を訪れる機会を頂いたので報告します。

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嶺南大学 金医学部長と(右から3番目が筆者)

広島大学病院緊急被ばく医療推進センター医師(放射線科) 稗田 雅司
 平成18(2006)年1月23日から5日間,HICAREの韓国派遣事業で韓国の被爆者関係医療機関や研究機関を訪問させていただきました。今回の目的は
(1) 韓国の医療機関等の研究者や医師他との情報交換
(2) 今後のHICAREの医師等研修生の受け入れについての協議
(3) 在韓被爆者の治療等についての意見交換
(4) HICARE研修生の現地での活動状況の聴取
等でした。ソウル,テグ,プサンの3都市,6施設を訪問させていただきました。

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放射線保健研究院職員と(後列中央が筆者)

HICARE幹事,広島大学原爆放射線医科学研究所教授(放射線生物・物理学) 星 正治
 平成18(2006)年1月23日(月)から1月27日(金)まで韓国にHICAREから調査団の一員として派遣されました。団長はHICARE代表幹事の柳田先生です。この派遣の目的は,?新たな韓国からの医療従事者の受け入れについて,年間数名,1週間程度の受け入れを新たに開始すること,?今まで受け入れた医療関係従事者が,日本での成果をどのようにあげているか調査すること,です。

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大邱赤十字病院で(右が筆者)

HICARE幹事,(財)広島原爆障害対策協議会健康管理・増進センター所長(循環器内科) 佐々木英夫
HICARE韓国訪問の印象
 今回の訪問は4泊5日の短いものでしたが,両国の放射線障害を専門とする医療関係者が交流を深め,今後の提携の促進に向けての合意が得られたことは初期の目的を達成したものといえます。主要な項目についての筆者の印象を述べたいと思います。
 総論的には,韓国(社会全般)およびその医療体制はIT等の躍進に見られるようにかなり進歩してきており,その自信と余裕が表れているように感じられました。

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大邱赤十字病院職員と(前列右端が筆者)

広島赤十字・原爆病院看護部看護係長 黒瀬 真理子
HICARE韓国派遣事業に参加して
 HICARE韓国派遣事業の一員として,韓国の原爆被爆者医療および緊急被曝医療に関する6機関(原子力医学院緊急被曝者医療センター,放射線保健研究院,大韓赤十字社,嶺南大学校医療院,大邱赤十字病院,釜山報勲病院)を訪問させていただきました。

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