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米国にHICARE幹事等を派遣

米国からの医師等研修生の受け入れを促進し,HICAREが受け入れた研修生,在米被爆者支援団体等とのネットワークの構築を図るため,韓国についで在外被爆者が多く住む米国に,HICARE代表幹事等を派遣しました。

期間:

平成19(2007)年1月14日~1月21日

構成員:

柳田 実郎 (社)広島県医師会常任理事,HICARE代表幹事
 事務局2名

訪問先(訪問日程順): 

米国広島・長崎原爆被爆者協会(ロスアンゼルス)

据石和会長(左から2人目),被爆者協会メンバーと

ロサンゼルス郡医師会

ラルフ・リベロ会長(後列右) ロバート・ビトンテ会計担当(後列中央) アーサー・アウエル事務局長(後列左)と

日系コミュニティ医師会

フレッド・サクライ議長(左) タケシ・マツモト幹事(前列中央) ジョージ・ヤマウチ会計担当(平成6(1994)年度HICARE研修生)(前列右)

サンフランシスコ医師会

ゴードン・ファング会長(右から2人目) マリー・リクヴィンコ事務局長(左から3人目) 医師会のメンバーと

被爆者友の会(サンフランシスコ)

ロバート・ラスキー会長(右端) ジェリー・ハンダ事務局長(右から2人目) 藤本聖香 加州日系人慈恵会事務局長(右から3人目)

HICARE研修生

アミルディン・ヒューダ氏(平成18(2006)年度研修生・ロスアンゼルス)(右から2人目)

ケイ・ヤタベ氏(平成8(1996)年度HICARE研修生・サンフランシスコ)(右から2人目)

在米被爆者支援医師

入江健二氏(医師・ロスアンゼルス)(中央)

ジョン・ウメクボ氏(医師・サンフランシスコ)(右から2人目)

所感(柳田代表幹事):

 HICAREの研修生受入事業は,チェルノブイリやセミパラチンスクの放射線被曝者支援の一環として,また北南米や朝鮮半島在住の在外被爆者を支援する目的で,設立当初から開始されました。被爆者医療を担う医師の研修受入としては,1~3か月の研修期間で,南米からは主としてブラジルから,毎年研修生を受け入れてきました。北米については,ロサンゼルス,サンフランシスコ,ハワイから,設立当初の5年間に計11名の医師を受け入れましたが,以後は希望者のないままとなっていました。米国といえども,多忙な医師が1ヶ月以上休むのは,大変に困難だからです。
 そのため,HICAREでは,被爆の実態と短期・長期の人体影響ならびに被爆医療について,主たる部分をまとめて研修する「1週間プログラム」を新たに作成し,これを利用して,韓国からは,6名前後の医師や看護師のグループを,毎年受け入れるようにしました。
 また昨今,日本政府による在外での医療費の補助事業が始まり,この手続きや健康管理手当ての申請手続きが,現地で行えるようになり,それらに関わる診断書の記入方法について,現地の医師の充分な理解を得る必要が生じてきました。
 これらの状況をふまえ,HICAREの受入研修についてさらにご理解いただく目的で,代表幹事1名と事務局2名の計3名が,被爆者の多いロサンゼルスとサンフランシスコに派遣されました。
 
 移動日を含め8日間,それぞれの町に実質2日半ずつという足早の訪問でしたが,北米被爆者健診に協力いただいてきたロサンゼルス郡医師会とサンフランシスコ医師会の,会長,役員,事務局長をはじめ,被爆者健診の協力医師,被爆者の支援医師,受入研修経験医師,被爆者の会の会長,役員の方々などなど,多くの関係者の方々とお話する機会に恵まれました。
 大多数の方々に,HICAREの受け入れ研修をご理解あるいは再認識していただくことができました。「1週間プログラム」も総じて好評であり,「1週間なら,休暇をとって参加することは可能」というお返事を,複数の医師からいただきました。
 また,2名の研修経験者から,研修の中で有意義だった部分と改善すべき点など,率直なご意見をいただくことができましたので,今後のプログラムの改良に資すると思われます。
 
 さらに,予想外であったことは,多くの医師から,緊急被曝医療体制について聞かれたことです。我が国では,原発事故を想定した「緊急被曝医療ネットワーク」が既に整備され,広島大学が西日本の中核になっています。我が国のシステムを模した形で,韓国にも昨今同様なネットワークが設立されました。米国政府もこのようなシステムづくりに躍起になっているらしく,多くの医師の興味のあるところとなっているようでした。
 HICAREとしても,緊急被曝医療に関するプログラムについても検討を始めたところです。
 
 以上,予想以上に収穫を得ることができた,米国2都市への訪問でした。