活動状況(年度別)

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活動状況(年度別)

韓国放射線医科学院(KIRAMS)緊急被曝者医療センター研修団を受け入れ

 韓国の放射線医学研究センターから医師等9名の研修団を受け入れ、広島大学原爆放射線医科学研究所ほかで放射線被曝者医療研修を行いました。

研修団員名簿(9名):

Kyu-Chan LEEガチョン医科大学ジル病院 放射線腫瘍科准教授
Hong-Ju JANG大田陸軍病院核医学科部長
Man-Jae LEEヨン・グワン・キリスト教病院内科部長
Kwang-Yul KIMワレス記念バプティスト病院整形外科部長
Ki-Moon KANG慶尚国立大学病院放射線腫瘍科准教授
Ryeok Ahn蔚山大学病院救急医療科助教授
Hyun-Ki KIM韓国放射線科学院(KIRAMS)緊急被曝者医療センター緊急被曝医療チーム上級研究員
  ほか2名

受入期間:

平成17(2005)年11月14日~11月15日

神谷教授(右から4人目)と

研修内容等:

○広島大学原爆放射線医科学研究所教授 神谷研二
テーマ:緊急被曝医療、研究所の調査機能について
 
○広島大学原爆放射線医科学研究所教授 星 正治(HICARE幹事) 
テーマ:被曝線量推定について
 
○(社)広島県医師会常任 柳田実郎(理事HICARE代表幹事)
テーマ:HICAREの国際協力について
 
○(財)広島原爆障害対策協議会健康管理・増進センター所長
 佐々木英夫(HICARE幹事)
テーマ:(財)広島原爆障害対策協議会における検診について
 
○(財)放射線影響研究所疫学部副部長 錬石和男
      同     疫学部原簿管理課長 山口 雅裕
テーマ:放射線生物学における関連調査など原爆被爆者に関する疫学的フォローアップ、研究所の調査機能について
 
○平和記念資料館ほか視察

所感等:

ガチョン医科大学ジル病院 放射線腫瘍科准教授
Kyu-Chan LEE
 
所感:
 今回の研修を通じてHICAREの活動を初めて、そして詳しく知る事ができました。広島は原爆被害による深い悲しみを有し、徐々に世の中から忘れられていく原爆の恐ろしさを、たゆまず思い出させる大事な役割を果たしていると感じました。
 広島は、平和公園を訪れる市民や学生、科学者そして外国人に、原爆被爆が人類に及ぼす恐ろしい惨事を、今も静かに、しかし強烈に伝えています。
 国と地方政府、そして医師会をはじめ病院、研究所などの多くの団体の協力のもとにHICAREを結成し、これまでの60年間の研究成果を全世界の科学者へ発信する事で、彼らの平和を愛する心を呼び起こし、国際交流や国際関係の正常化へ大きく貢献している事を知りました。
 HICAREを通じて、外部の支援を受けなければならない被害者であった広島が、全世界の多くの人達の平和を愛する心を高め、被曝者医療の研究を推進するうえで、大きな貢献を行っている姿を拝見し、感銘を受けました。
 
韓国での医療活動:
 私は1990年に医科大学を卒業した後、5年間、放射線腫瘍学修士過程を経て博士過程を履修しました。
 現在は放射線腫瘍学専門医として、ガチョン医科大学ジル病院放射線腫瘍科准教授を努めており、病院で癌(悪性腫瘍)患者に放射線による治療を行ったり、医大生の教育や医学研究を行ったりしています。
 韓国の緊急被曝医療体制の構築と、仁川地区の緊急被曝医療指定病院のチーム長として、今回の研修に参加させていただき、有益な研修を受ける事ができましたことをうれしく思います。
 放射線医学に関する研究を進めていますが、HICAREとの交流により、相互協力を行っていくことができますよう希望しています。
 
 
大田陸軍病院核医学科部長
Hong-Ju JANG
 
所感:
 1泊2日の短い日程でしたが、HICAREのよく準備されたプログラムのおかげで、とても有益な研修を受けさせていただき、とてもうれしく思っています。
 今後、研修の目的にそった研修プログラムを複数用意して、個々の研修生に対応していただければ、より完璧な研修になると思います。
 
韓国での医療活動:
 2000年から2003年まで、三星メディカルセンターで核医学の研修生として働きながら、主にPETを活用した食道癌と子宮頚部癌の患者の生存率を予測することをテーマとした論文を発表しました。
 現在は兵役中で、大田陸軍病院核医学科部長として勤務していますが、2次被曝医療病院のチームリーダーとして教育及び訓練を担当しています。
 
 
ヨン・グワン・キリスト教病院内科部長
Man-Jae LEE
 
所感:
 研修はとても実際的な側面に焦点をあわせているので、かなり印象的な研修でした。このような立派な研修が全世界に広まり、さらにHICAREが活性化される事を希望しています。
 
韓国での医療活動:
 HICAREの研修で学んだことを韓国国内の放射線被曝患者のケアに役立てたいと思います。2次被曝医療病院のチーム長として、今回得た知識を緊急被曝医療に活用し、役割を果たせるよう努力します。
 
 
ワレス記念バプティスト病院整形外科部長
Kwang-Yul KIM
 
所感:
・研修は私にとりまして、大変印象深いものでした。
・しかし、研修日程を消化するには、時間が短かったようです。
・可能なら、資料館の訪問は午後のスケジュールに変更した方がよいと思います。
・HICAREの関係者の皆様のご親切に心から感謝します。
・広島は初めて訪問しましたが、広島を愛することになりそうです。
 
 
慶尚国立大学病院放射線腫瘍科准教授
Ki-Moon KANG
 
所感:
 先ず、ご親切に対して感謝します。
 広島を始めて訪れましたが、HICAREが原爆被害によるあらゆる状況に対して、それを克服するために努力していることに敬意を表します。
 HICAREの研修を通じて、放射線が人体に及ぼす様々な問題について学ぶことができました。同時に、原爆被爆の急性及び慢性の後遺症をより現実的に知るきっかけになりました。
 HICAREの研修が、今後、日本を代表する実り多い研修になる事を期待しています。
 
韓国での医療活動:
・ 慶尚南道地区(韓国南部)の拠点都市ジンジュにある、国立慶尚大学病院の放射線腫瘍科に勤務しています。
・ 韓国の2次被曝医療機関として緊急被曝医療に積極的な取り組みを行っています。
・ 放射線に関する教育及び診療を行っています。
・ 放射線について積極的に知識を得、対応することで、放射線に対する被害を最小化できると思いますし、その方向で努力を行っています。
・ 地域拠点病院としてその役割を十分に果たすため、同僚の医師や関係職員の認識を変え、ともに対応できるよう積極的に取り組んでいます。
 
 
蔚山大学病院救急医療科助教授
Ryeok Ahn
 
所感:
 まず、とても積極的かつ忍耐強く、私たち研修団をご案内いただきましたことに感謝申し上げます。
 もし講義された内容のファイルを頂く事ができれば、韓国で緊急被曝医療に対する理解を広く深める事ができると思います。
 
 
韓国放射線科学院(KIRAMS)緊急被曝者医療センター
緊急被曝医療チーム上級研究員
Hyun-Ki KIM
 
所感:
韓国の緊急被曝医療体制を構築している現段階で、神谷教授の講義及び、 (財)広島原爆障害対策協議会などHICARE関連機関への訪問、見学、論議は、今後現実面で多いに役に立つと考えています。
 特に大学の研究機能とHICARE、そして地方政府との有機的な協調体系は、大変印象的でした。
 反面、講義資料は事前に準備して受講者が講義に集中できるように配慮することも必要ではないかと思います。そして講義資料は、研修者が研修を受けた内容を現場に持ち帰って活用すると思いますので、研修生に必ず配布していただければよいのではないかと思います。
 
韓国での医療活動:
1) 放射線事故時の医療対応・計画の樹立。
2) 放射線事故時、被曝患者の物理的な線量評価を遂行し、犠牲者の症状予測、治療計画の策定を支援する。
3) 放射線事故時に必要な緊急被曝医療対応要員の教育訓練。