トップページ > 活動状況(年度別) > 活動状況(2000年度~2009年度) > 韓国放射線被曝者医療研修団の受け入れ
韓国放射線医科学院(KIRAMS)緊急被曝者医療センターから、医師・看護師他11名からなる研修団を受け入れ、広島大学他で1週間の研修を行いました。
なお、9月14日に開催した「HICARE創立15周年記念国際シンポジウム」では、団長のChoi,Chang-Woon氏にパネリストとして参加いただきました。
Choi, Chang-Woon団長(前列左から3番目)、研修団と、広島大学病院 谷川教授(HICARE幹事、緊急被曝医療)(前列左から2人目)
団長 | Choi,Chang-Woon | KIRAMS国立緊急被曝者医療センター所長(ソウル市) |
団員 | Kim, Sun-Sil | 同 緊急被曝医療チーム看護師(ソウル市) |
Lim, Nam-Hui | 同 緊急被曝医療チーム看護師(ソウル市) | |
Choi, Won-Sik | 同 緊急被曝医療チームメンバー(ソウル市) | |
Lee, Shin-Jae | 同 緊急被曝医療チームメンバー(ソウル市) | |
Choi, Dai-Hai | 東国大学校慶州病院救急医療科科長(慶州市) | |
Lee, Kyung-Woo | 慶尚大学校病院救急医療科科長(晋州市) | |
Yang, Jae-Wung | 機張病院病院部部長(釜山市) | |
Park, Soo-Seok | 蔚珍病院放射線診断科科長(蔚珍市) | |
Yun, Sun-Ho | 霊光キリスト教病院放射線診断科科長(霊光市) | |
ほか1名 |
平成18(2006)年9月11日~9月14日
広島大学原爆放射線医科学研究所
広島大学大学院
(財)広島原爆障害対策協議会
(財)放射線影響研究所
平和記念資料館ほか視察
HICARE 土肥会長と(前列右から3番目が筆者)
所感:
HICAREの研修に参加し、多くのことを見て感じました。ありがとうございました。
まず、HICAREは、地方政府、大学、医療院、研究センターが有機的に連携し、原爆被害者に対する医療支援及び研究が体系的に、かつ長期間持続されている事がとても素晴らしいシステムだと思いました。そしてその構成員(機関)は、各自固有の役割を持って専門研究、また活動をしているのが印象的でした。
私は韓国にも国家緊急被曝医療体系に諮問委員会のような機構を新設し、政策を調停することが必要だと思いました。そして研究分野を強化して長期的に緊急医療体系を支援し、国際的協力を増進させる必要があると思います。
これからさらにHICAREと韓国の緊急被曝者医療センターの紐帯関係が発展していくことを願っております。
最後に私どもの研修のために熱心にご配慮してくださった HICAREの関係者の皆様に感謝します。
韓国での医療活動:
政府(科学技術部)の支援機関である原子力医学院(KIRAMS)の国立緊急被曝者医療センターに所属しており、韓国で放射線事故が起きた場合に医療対応を行うことが私の主な任務です。
今は緊急被曝医療スタッフの教育,訓練に重点を置いていますが,これからは研究と国際協力にも関心を持つつもりです。
広島市 松村原爆被害対策部長(前列右から3番目)、大知課長(前列右端)と(前列右から2番目が筆者)
所感:
計画的で論理的、体系的な研究と研修を実施している HICAREに深く感謝します。
みなさんのご支援は、人類にとって大変役に立つものだと思います。
ありがとうございました。
韓国での医療活動:
・国内の緊急被曝医療体系の構築を強化するための教育と訓練業務
・対テロ業務
・国の原発放射能防災訓練 など
広島県 河良保健医療局長と(前列右から2番目が筆者)
韓国での医療活動:
緊急被曝事故に対応する緊急被曝医療チームの一員です。
平時には、放射線の事故と診療に関する研修と訓練を行っています。
また、放射線を利用して癌の治療を行っています。(甲状腺癌患者への131-I投与、非ホジキンリンパ腫患者の放射免疫療法、子宮癌患者の近接照射療法)
(財)放射線影響研究所臨床研究部 錬石副部長と(前列右から2人目が筆者)
所感:
行政職としては機会が多くはない放射線被爆医療関連研修に参加でき、とても私は運が良かったと思います。土肥会長をはじめとするHICARE関係者のご尽力に心から感謝します。
ぼんやり理解していた知識をしっかり学んで帰る事ができますので、韓国へ帰ってこれからしなければならない、また伝えなければならない事がたくさん増えました。 せっかく学んだ知識ですので私の業務に活かし、活用できるよう最善をつくすつもりです。
こんな素晴らしい研修を人々にも広く知らせて、より多くの人と知る喜びを分かち合いたいものです。どうもありがとうございました。
韓国での医療活動:
私は放射線医科学院(KIRAMS)国立緊急被曝者医療センターの事業支援チームで行政業務を担当しております。チーム長以下多くの職員と緊急被曝医療業務を支援するため、万全の体制を整える作業をしています。
非常時に備えて、センターに必要な放射線計測装備及び非常医療装備の購入及び備付・管理、センター運営に必要な予算作成及び執行、事業計画樹立、人事管理、施設管理、関連機関とのMOV締結などの協力推進業務、放射能テロ・事故に備える行政業務を遂行しています。
今後も HICAREとの多くの協力や交流を通じて、韓国のセンターがさらに発展できることを願っています。
原爆ドームの前で(後列右から4番目が筆者)
所感:
今までは広島に深い関心はありませんでしたが、今回の研修を通じて関心が深まりました。
次回は家族と一緒に広島城、宮島などをもう一度訪問したいです。
(財)広島原爆障害対策協議会 佐々木所長(HICARE幹事)と(前列左から2人目が筆者)
所感:
韓国で放射線被曝事故が生じた時、患者を診療する時にとても役に立つと思います。
より重要なことは被曝事故が生ずる前に予防することだと思います。
また、原子力発電所に対し漠然とした恐怖を感じている多くの市民に、より理解してもらえるようなプログラムを企画・実施すること、原子力発電所の運営と諸経営がカラス張りになるよう監視体系を確実に確立することが重要だと感じました。
韓国での医療活動:
東国大学校医科大学応急医学教室主任教授
東国大学校慶州病院応急医学科長
大韓応急医学会正会員
大韓外傷学会正会員
大韓臨床毒性学会正会員
慶州地域保健福祉部児童虐待防止委員会委員
慶州地域消防本部応急処置諮問医師
慶州地域消防署応急処置教育諮問医師
慶州地域消防署感染管理委員会委員
科学技術部指定放射線防災1次応急医療機関責任者
浦項善隣大学応急構造学科外来教授
アメリカ心臓学会/大韓心肺蘇生協会指定東国大学校慶州病院基本人命救助術教育センター責任者
広島大学原爆放射線医科学研究所 神谷教授と(前列左から2番目が筆者)
所感:
広島は悲しい歴史的過去から現在まで、立派に発展してきました。
多くの医療機関がHICAREを通して、連携しながら問題を解決して行くように見えます。
放射線分野で、韓国と多くの交流と協力が続くことを望みます。
韓国での医療活動:
私は救急医療科専門医として慶尚南道晋州市にある国立慶尚大学病院救急医療科の教授をしております。
主に救急医療室に入院する患者を診療しています。
医大生の教育と実習を指導したり,研究活動に参加したりしています。
心肺蘇生術(CPR)と 毒性学・外傷学を主に担当していて、アメリカ心臓協会が主管する一次救命処置(BLS)で、CPRの教育を行っています。
国立緊急被曝医療センターの二次緊急被曝医療機関の一員として活動しています。
(社)広島県医師会 柳田常任理事(HICARE代表幹事)(前列左から2番目)と(後列左から4番目が筆者)
所感:
韓国の診療形態と日本の診療形態は、本質的な医療知識では似ていますが、現場では細かい違いがあり、学べる点がありました。また、被爆者に対する膨大な資料及び研究成果を拝見し、大変驚きました。
今回の研修が私に与えた影響は非常に大きく、私自身の発想転換のきっかけになりました。
また、この場を借りて研修のチャンスを提供してくださった韓国国立緊急被曝医療センター(KIRAMS)と日本の広島の関係者の皆様に感謝申し上げます。
HICAREの皆様には、日本到着の時から出発の時まで大変お世話になり、ありがとうございました。
広島大学大学院 秀教授(右から6番目)と(左から5番目が筆者)
印象:
すべての日程が正確な時間とスケジュールによって動いていたので、 HICARE の研修機関としてのノーハウを感じることができました。60年間のすべての資料が蓄積され、今もなお研究が続けられていて、その得られた結果をもとに、他の被曝発生地域に国際協力をしながら、協同で研究を進めて行く姿が素晴らしいと思いました。
また、政府及び地方政府の有機的な連携,そして各病院との有機的な連携により、緊急時の状況対処能力を完璧に保有していること(装備,施設)には驚きました。特に皮膚移植でびっくりするような結果が見られたことは良かったです。
韓国での医療活動:
私は韓国のソウルから東へ約 250Km 離れた蔚珍(ウルチン)市にいます。 蔚珍は慶尚北道の最北端であり、江原道との境界地になります。
私は蔚珍病院放射線診断科で放射線室長をしております。
私は主にCT撮影(検査)を担当していますが、その他に放射線診断と装備の品質管理の最終責任者として、再撮影率を最小化し、あらゆる検査の時に被曝を最小化できるよう管理監督しています。
また、検査の防御管理の責任者として、期別に表面、深部線量等を測定し、年 1回の健康検診を実施して、検査スタッフの医療環境の改善に努めています。
広島大学原爆放射線医科学研究所 星教授(HICARE幹事)(前列左から2番目)と(後列左から3番目が筆者)
所感:
私にとって初めて経験する海外研修教育だったのでとても緊張しました。今回のHICARE 研修は、多少大変で難しい過程ではありましたが、難しかっただけに2倍以上の成果をあげることができました。韓国で定期的に実施されるKIRAMSの研修内容と重複するものもありましたが、実際に放射線被曝を経験した町で、体系的な研究と様々な臨床実験、包括的な学問と医療機関を直接見学し学習したことは、これから臨床で勤める時に大いに役に立つと思います。
国家間、社会間で放射線に対する関心が高まっていく中で、放射線に対する憂慮や心配よりも、今後安定的な発展に繋げていくために今回の研修はおおいに役立つと思います。
短い期間ではありましたが、この研修で医療、臨床分野で、全般的な向上と発展の一翼を担うことができるような自信感を持つことができました。
韓国での医療活動:
私は韓国の西南地域である、味と伝統の町、全羅南道霊光の霊光キリスト教病院の放射線科に勤務しています。また、隣近地域では原子力発電所が稼動中なので、放射線に対する関心は他の地域より相当高いと思います。
住民及び企業の社員、発電所関連勤務者に対し放射線に係わる各種基礎検査と診断のための検診活動を主に行っていますが、中でも特に地域住民の健康増進に力を入れています。
さらにこの病院は精神科病院も兼ねているので、放射線事故及び露出危険によるストレスなどの精神保健分野と、老人性痴ほう、アルコール、内科的疾患など様々な部門に幅広く対応しつつ、臨床診療活動を行っています。
このように、私の主な業務は放射線関係で、放射線に対する知識と、臨床医療、精神保健などの包括的な連携が可能なので、私の医療活動が周辺地域の健康増進に実際に寄与していると自負しております。
ありがとうございました。