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カザフスタン・放射線医学・環境研究所から医師1名、研究者1名を受け入れ、広島大学原爆放射線医科学研究所ほかで1か月間の研修を行いました。
放射線医学・環境研究所
臨床放射線部長 ベレケノファ・グリナラ・アブバキロフナ
研究員 アーゲンバエブ・ラウシャン・マキュシトフナ
平成18(2006)年1月25日~2月17日
広島大学原爆放射線医科学研究所
(財)放射線影響研究所
(財)広島原爆障害対策協議会
被曝線量推定研修
グルナール氏、ラウシャン氏(後列右から2・3番目)、研修スタッフと
ベレケノファ・グリナラ・アブバキロフナ:
HICAREのプログラムは大変良く運営されていて、広島に到着以来、研修だけでなく日本の文化的な側面もよく見せていただきました。事務局の方々は私達の滞在中、ずっとよくお世話をしてくださいました。HICAREにはとても感謝しています。これからもずっとこの組織が存続してほしいと願っています。そして全世界がHICAREの存在を知り、活動を支援してほしいと思います。本当にありがとうございました。セミパラチンスクの専門家は、被曝者の問題に真摯に取り組んでいます。今後ともより一層支援してくださいますようお願いいたします。
カザフスタンでの医療活動:
カザフスタン放射線医学環境研究所はセミパラチンスク市にあり、私は臨床放射線科で働いています。臨床放射線科の業務は、セミパラチンスク核実験場の被曝者への医療支援と直接結びついています。春、夏、秋が来ると、研究員(内分泌科、口腔科、婦人科、神経科、機能診断など様々な分野の医師)が被曝地域に出向き、検診などの医療支援を行っています。支援の内容としては、
○ 医師が検診し診断する、スクリーニング検査
○ 異常が見つかった患者は、研究所付属診療所で各専門家が検診し、最終的な診断をした後、市立病院への治療紹介状を出します。
○ 患者は、研究所の入院棟に1年に1回入院し、治療を受けることが出来ます。
以上のことは、全て無料で提供されています。
これらの支援は、私達が被曝者にしてあげることができる最小限のものだと思います。現在わが国の経済は発展してきているので、いずれはもっと沢山の支援ができるようになるかもしれません。
私自身も、口腔科医としてこの医療支援活動に参加しています。健診の様々な準備を行う責任者として、口腔部、顎部への必要不可欠な医療を行っています。
アーゲンバエブ・ラウシャン・マキュシトフナ:
HICAREの研修は、研修生にとって大変重要なものだと思います。私も日本の科学者の研究を実際に見て、多くのことを学びました。研修の合間に原爆資料館を訪れ、心を動かされました。講義も大変興味深かったです。日本の医師達の仕事を見る機会もあり、患者さんへの丁寧な対応を学ぶことができました。HICAREの職員の皆さんも、丁寧で優しく、いい方たちでした。
カザフスタンでの医療活動:
私は現在、機器管理・リハビリテーション科に所属しています。
私の所属するカザフスタン放射線医学環境研究所は、現在、セミパラチンスク核実験場被曝者のデータベース作成の作業に取り組んでいます。私を含め科の職員は、東カザフスタン州の村で資料収集を行い、その情報の整理を行っています。線量測定の仕事にも着手しました。ドロン村とモスティク村にも被曝者アンケート調査に出かけました。私達は、最初に核実験が行われた当時の、彼らの生活様式、勤務地、所在地を確認しようと努力しています。
これらの全ての作業が、住民の被曝線量や、核実験による放射線の人体影響を評価するうえで、欠かせないものになっています。