活動状況(年度別)

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活動状況(年度別)

JICA・カザフスタン保健行政研修団を受け入れ

国際協力機構(JICA)が招聘したカザフスタン保健行政研修団一行5名が広島を訪問し、HICARE関連研修機関等の視察を行いました。

研修団員名簿:

団長クサイノバ・アイグル東カザフスタン州保健局・次官
団長サガンディコバ・サガダット国立医療診断センター健康維持コンサルタント部部長、JICA調整員
団長カディロバ・エンリック国立医療研究センター副センター長
団長ジュアスバエバ・ガリヤセミパラチンスク保健局・看護学チーフスペシャリスト・セミパラチンスク地区看護協会会長
団長シャヤフメトバ・グルジャン国立セミパラチンスク看護医科大学・学長

受入期間:

平成16(2004)年10月18日(月)~10月20日(水)

視察の目的:

・日本の保健行政システムの視察
・被曝者検診、ケア、医療データベース処理を学ぶこと
・看護学のあり方、保健行政における看護職の向上を知ること

視察先:

 広島県  広島市
 広島大学原爆放射線医科学研究所  (財)放射線影響研究所 
 (財)広島原爆障害対策協議会  広島赤十字・原爆病院 
 広島原爆養護ホーム神田山やすらぎ園

視察風景((財)広島原爆障害対策協議会)

所感等:

 我が国カザフスタンで、セミパラチンスクの核実験による被曝者に対し、政府が取り組んだ政策は下記の通りです。 (1) 平成4(1992)年に「セミパラチンスク核実験による被曝者擁護法」の制定。
(2) 336地区委員会の決議。これにより、核実験被曝者に対して医療ケアを提供できるようになりました。
(3) 保健省法案240条の制定。
 
  これらに基づいて、具体的には次の施策が実施されました。 (1) 国による「核実験被曝者」の認定。
(2) 核実験場からの距離と被った放射能の量により、国が被曝地区を決定。
(3) 補助金の支給。
(4) 「被曝者2世」の範囲の定義づくり(1992年までに被曝者から生まれた子供)。
(5) 336地区委員会の決議により、核実験被曝者は、健康診断や治療が無料で受けられるようになりました。
(6) 保健省法案240条の制定により、放射能による疾患や死亡、あるいは健康状態の鑑定結果を交付することになりました。この鑑定は、地域ごとに設置される鑑定委員会が行います。
(7) 核実験による被曝者と認定されながら勤務している人に対しては、国が一般の人より10日間多い有給休暇を与えます。
(8) 被曝による疾患と診断された人に、鑑定委員会から障害者年金が支給されます。(通常の年金額より4000ティンゲ増)。また、配偶者を被曝による疾患で無くした人も、その年金を受ける権利があります。
   
この5年の間、セミパラチンスク地域では、日本政府による核実験被曝者のためのプロジェクトが立ち上げられています。イルトゥィシ川にかかる橋が日本政府によって建造され、多くのNPO団体のプロジェクトによる援助も行われています。
 
  特に、日本国政府によるJICAを通じた我が国への支援がいかに大きいかということを強調したいと思います。JICAのプロジェクトは、セミパラチンスク地域の医療改善及びガンの早期発見に大きな効果があり、また、カザフスタンの保健局と提携して、我が国の大規模医療機関へ機器を提供してくれました。検診車の導入、被曝者治療方法の改善、コンピューターによる医療データベース処理、パパニコロウ染色法の導入など、日本、セミパラチンスク、アスタナ、ウス・カメノゴルスクで取り組まれている様々な分野の技術研修は、すべてこのプロジェクトの賜物です。また、核実験で被害を被った地域に暮らす人々のための健康診断も実施されました。
 
  このような素晴らしい、日本とカザフスタンの提携プロジェクトが継続されますことを希望しております。そのためには、HICARE、広島大学、NASHIM、長崎大学、大分県立看護科学大学の協力がぜひとも必要です。
 
  核実験の被害者として、日本政府、日本国民、日本の専門官の皆様に心から感謝申し上げます。そしてこの驚くべき国日本と、そこに暮らす心優しい、勤勉な日本国民のますますの繁栄をお祈りいたしております。